最終日の目的地は、会津坂下経由で会津若松。会津川口からごとごとと只見線に揺られながら、雪景色を眺める。山肌の雪の上には、けっこうたくさんの動物の足跡が見られた。いろんな生き物がいるんだなあ。会津宮下駅では、上下線が行き交い、タブレット交換を見ることができた。
会津坂下に近づくとあんなにたくさんあった雪もほとんど消えてくる。会津若松の方はほとんど雪がないという話を宿で聞いていたけど、山沿いのエリアと会津盆地の中の方とではずいぶんと気候が違うようだ。残された旅程は歩きが多いので、雪はないにこしたことはない。会津坂下に下車したのは、そこに廣木酒造や曙酒造があるから。さらにここには寄ってみたいと思っていたこだわりの酒屋も一軒ある。特に何もない駅前をしばらく行くと、この町のメインストリートに出る。銀行があったり、小さな店舗が並んでいたり。味噌・醤油蔵や酒蔵が並んでいることからもここが古い町だということがわかる。国道沿いにこうした店が並んでいるのを見ると、諏訪の町を思い出す。しばらく行くと、木造の間口の広い店が見えた。ここが廣木酒造。表のガラス戸には「飛露喜売り切れ」の張り紙が。さすが「飛露喜」。直接蔵に買い付けにくる人も多いようだ。
その廣木酒造のすぐ近くに五ノ井酒店があった。店内は薄暗く、リーチインの冷蔵庫が壁を埋め尽くしている。いい雰囲気だ。店主のおじさんが試飲を勧めてくれる。これは、曙酒造の秘蔵酒で......とか、これは廣木酒造の限定品で......とか。特に頼まなくても、どんどん出てくる。他に客がいなかったということもあるだろうが、止めなければいくらでも出てくるわんこそばのような勢い。この店でなければ買うことのできない「天明」の曙酒造の「央」を 2 本と廣木酒造の「泉川」の大吟醸を 1 本......と計 4 本購入。もっとゆっくりしたかったのだが、いかんせん交通の便が悪く、次のバスを逃してしまうと、2 時間待たなければ次のバスがこないということで、仕方なく退散。次のバス停に向かう途中に曙酒造を見る。醸造蔵の町だ。
しばらく待って、バスに乗り、七日町まで移動。七日町は会津若松の街の西の端。ちょうど飯盛山の反対側あたり。ここを起点に会津若松を散策。七日町の駅のほど近くに鶴乃江酒造という蔵があった。店内に入ると、甘酒の試飲をやっていた。カップ酒を発売している蔵でも、蔵の直売所ではそれを置いていないことはよくあるのだが、ここの蔵はカップ酒を置いていた。冷蔵庫から取り出してみると、カップにプリントしたタイプ。迷わず購入。甘酒の試飲につかう柄杓を入れているカップがふと目に留まる。おや、違う柄がプリントされている。店の人にこれもこの蔵のカップ酒なのかを聞いてみると、中身はさっきのカップ酒と同じだが、猪苗代湖周辺で販売しているバージョンで、猪苗代湖の観光遊覧船をあしらったものだという。他にも 2 種類あるということで、蔵の方まで行って、取ってきてくれた。どれもプリントタイプだったので、買っていく。近くの酒屋で「名倉山」のカップ酒を買って、末廣酒造へ向かう。
ここは「Dr. 野口カップ」を出している蔵。これは紙ラベルのカップ酒なので、コレクションの対象外だけど、蔵の見学ができるということで、寄ってみる。おそらく、末廣酒造は、会津若松でいちばん大きな蔵。ここでもおおいに試飲を勧められる。ここで購入したのは、「末廣 伝承山廃純米」。ソムリエとして有名な田崎真也が、この酒をテイスティングして、それまでぬる燗がよいと思われていたこの酒のベストの温度は、50 度以上の熱燗だと言われたらしい。蔵の人も半信半疑で試してみたところ、そちらの方が格段によかった......というエピソードを聞かされ、家に帰って試してみると、確かにおいしい。これぐらい熱くすると、アルコールでむせてしまうことが多いけど、この酒はまったく問題ない。柔らかい甘みが体を温めてくれる。
そのあともしばらく街をぶらぶらしたが、麹屋があったり、造り酒屋が何軒かあったり。会津若松は酒の街だなと感じた。
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