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カップ酒マーケティング:その弐

AtoZ Cup House:六花酒造前回に引き続き、カップ酒マーケティングについて考える。

  1. 自分の活動圏内の酒屋で「龍力」の別商品(四合瓶)を発見し、入手し、飲んでみる
    実は、ここの部分がなかなか難しい。いままでにいろんな酒販店を回ってみたけど、地酒のカップ酒を揃えているところなんてのは、そうそうない。こだわったセレクションの酒販店には、各地の地酒はあっても、カップ地酒まで取り揃えている店は、ほとんどないといっていい。観光地であれば、土産物屋にカップ地酒を置いている店は若干あるけど、その地元のカップ地酒以外はほとんどない。そんな環境の中で、これはと思ったカップ地酒をピンポイントで手に入れるのは難しいこと。インターネットでの通信販売という手もあるけど、1 本だけカップ地酒を買うというのは、送料の方が高くついてしまって、躊躇してしまう。
  2. 「龍力」の四合瓶は、おいしかった
    これは、3. 「龍力」カップ酒を入手し、飲んでみる......と同じで、やはりおいしくなければ、次の購買にはいたらない。これはごく自然のなりゆき。
  3. 「龍力」は、おいしい......という認識に至る
    かくして、カップ酒をトリガーとして、「龍力」 = おいしい......というブランドイメージが確立。
  4. また買ってみてもいいな......と思う
    ブランドイメージが確定すれば、あとはどうやって定期的に購入してもらうかという段階に入る。

これまでの経験で、「おいしいカップ酒を出している蔵の上位クラスの酒はおいしい」という原則は間違いない。「おいしくないカップ酒を出している蔵の上位クラスの酒にもおいしいものはある」というのも間違いない。それは同時に「おいしくないカップ酒を出している蔵の上位クラスの酒もおいしくないこともある」ということも意味している。しかし、「おいしいカップ酒を出している蔵の上位クラスの酒はおいしい」が正しい以上、これをトリガーにして、さらにその蔵の酒に興味を持ってもらうというのは「あり」なのではないだろうか。この線でのマーケティングは実践されていて、小瓶にいろんな蔵の銘酒をボトリングして流通させるという手法(関連記事:その壱その弐)。こうした商品を扱っている店は、概ねこだわったセレクションを誇る酒販店なので、これらのミニボトルをトリガーに四合瓶や一升瓶に購買がエスカレートするということは十分にあるだろう。

さて、最後に残された問題。

  1. カップ酒に興味を持った

......である。小瓶に上質の日本酒をボトリングして売るのもひとつの手。店に並んでいると、どれがいいかな......と迷いながら商品を選ぶことができる。失敗しても痛い金額ではないのもポイント。また、この記事に掲載した写真にあるように特徴的な商品を作るのも手(奈良美智のイラストをプリントした六花酒造のカップ酒セット)。日本酒に興味はなくても、手に取ってみるというアクションにはつながるかもしれない。ただ、こうした商品の流通形態は、かなりシチュエーションが限定される。これに対しては、コンビニでいままでにない商品形態で流通させるという手がある。しかし、残念ながらあまりおいしいものとは言えなかった......。とはいえ、いままで日本酒に興味のなかった人の目に触れさせるチャンスにはなるかもしれない。結局レジに持っていくのは、ビールかもしれないが......。

質の高い地酒は、手作りの作業工程が多く、大量生産に向かない。そのためコンビニなどで大量販売するのは難しい。でも、これが数量限定のインターネット通販だったらどうだろう。例えば、味重視で厳選したカップ酒を 10 本セットに。実際に飲み比べセットなんて商品も存在している。そのセットにいちばんおいしかった蔵の酒が四合瓶でついてくるというカスタマイズ的な要素を加えてみるとどうだろう。どこに住んでいても買えて、通信販売につきものの送料もある程度抑えることができる。カスタマイズで選んでもらう 1 本を指定してもらうときに、カップ酒 10 本のベスト 10 を選んでもらうというのもいいかもしれない。その好みに合わせて、ソムリエ的にオススメの 1 本を(10 本のカップ酒にこだわらず)フォローアップとして提示する......という手法もあるかもしれない。

......などと、いろいろ妄想。日本酒の凋落ぶりを見るにつけ、手遅れかと思わなくもないが、そういった中でもがんばっていい酒を醸している蔵も増えてきているという状況もある(代替わりして路線変更するというパターンも少なくない)なかで、なんとかならないものかな......と思うのだ。

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