- May 18, 2008 7:45 PM
- sake
先週は、近所のスーパーの店頭で古本を販売していた。この古書店はときおりこのスーパーの店頭に店を出すんだけど、いつも「お、これは!」というものを売っていて、何かしら買ってしまう。これが戦前のマッチ箱だったり、昭和 30 年代の観光ガイドだったりするんだけど、今回買ったのは、この『自然流「日本酒」読本』。
1992 年刊ということで、すこし古い本だけど、なかなかいい本。著者とカメラマンが各地のいろいろな蔵を回って、蔵元や蔵人に話を聞きながら、日本酒についての理解を深めていく......という流れの本。著者もカメラマンも日本酒通というわけではないところから醸し出される雰囲気だと思うけど、専門家が書いた本とはずいぶんちがうテイスト。日本酒についての歴史から流通までのさまざまな事象・事情をやさしく解き明かしてくれる一冊。本文中に挿入される蔵やそこにいる人々を被写体にしたモノクロ写真もなかなかいい。
この本を読んでなるほどな......と思ったこと。日本各地に現在でも 1000 以上ある酒蔵の存在。いまではずいぶんとその数を減らしてきているようだが、かつてはそれぞれの町にひとつはあるのではと思えるぐらい酒蔵は多い。酒造の起源というのが、地主(名主)の副業であったというのがその理由らしい。地主は、小作人に田畠を貸し与え、春から秋にかけては農耕に従事する。秋の収穫を迎え、農繁期から農閑期に移ると、酒造りが始まる。農業に不向きな冬の間に酒造りをし、造りが終わるころ、また農作業に適した季節が巡ってくる。もちろん昔は現在ほどモノの流通が盛んでなかったことも理由のひとつだろうが、こうした地域に密着した時間的なサイクル、仕事のサイクル、そしておそらくは地産地消のサイクルも成立していたというエコシステムが日本各地にあったわけだ。
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