- October 11, 2007 11:01 PM
- sake
長野遠征の途中で泊まった宿で、『夏子の酒』を読む。全 12 巻のうちの半分ぐらい。1988 年連載開始と言うから、ほぼ 20 年前の作品ということになる。当時は日本酒になんの興味もなかったので、書店で手に取ることすらしなかったんだけど、テレビドラマ化されたので、知っている人は多いかも。
新潟のある小さな蔵元を舞台としたお話。主人公の夏子は東京の広告代理店で働いている。兄は、家業を継ぎ、蔵の経営にあたっているが、幻の酒米で吟醸酒を作るという夢を持っている。その酒米は繊細な品種で、その育成には無農薬・有機栽培が不可欠で相当な努力を要する。しかし、兄は夢半ばにして他界。夏子はその夢を受け継ぎ、東京での仕事を辞め、帰郷。米作りからその第一歩を踏み出す……というストーリー。
まだ半分しか読んでないんだけど、なかなかおもしろい。日本酒の醸造法(大規模酒造メーカーと小さな蔵の対比)や、マーケティングや流通に関する話題なども読んでいて勉強になる内容。農薬や化学肥料に依存しなければ、成り立たない日本の農業事情についても言及されていて、考えさせられる。「八海山」や「越乃寒梅」なんかが有力な銘柄酒として実名で登場するんだけど、このあたりが発表当時からの時間の経過を感じさせる(確かに当時はプレミアム的な扱いだった)。が、内容的には、いまでも通じる大事なテーマを扱っている。
『夏子の酒』にインスパイアされ、本格的な酒造りに取り組む三重県の森喜酒造場では、「るみ子の酒」(カップ酒もある)などという銘柄も醸している(『夏子の酒』の作者のイラスト入りのラベルが印象的)。すべての蔵元が……というわけではないが、三増種の生産を中止する蔵や、純米酒だけを醸す蔵など、本格的……というか酒造りの原点回帰+αが感じられる昨今。この『夏子の酒』の影響のありやなしやはさておき、喜ばしい状況ではある。
続きを読むのに、また長野まで行くわけにはいかないので、古本で買うことにする。
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